備忘録〜経営法務①〜 保証契約・物権・法改定
□保障契約
保証人から直接合意を取り付けなければ無効となる。
契約締結1ヶ月以内に公正証書を作成する。
●附従性
・主債務が成立していなければ、保証債務も成立しない。
・主債務が消滅すれば保証債務も消滅する。
●随伴性
・主債務が債務譲渡などにより移転すると、保証債務もそれに随伴して移転する。
●補充性
・催告の抗弁圏
債権者からの保証債務の履行請求に対しては、保証人は、まず債務者に履行請求をすべきことを主張できる。
・検索の抗弁権
債権者が主たる債務者に催告いた後でも、保証人は主たる債務者に弁済の資力があり、執行が容易であることを証明すれば、まず主たる債務者の財産に執行すべきことを主張できる。
●連帯保証
・補充制がない。⇨ 催告の抗弁権および検索の抗弁権がない。
・分別の利益がない。
分別の利益とは、複数の保証人がいる場合、各保証人は平等の割合で分割的に保障すればいいというもの。
100万円の債務に連帯保証人が2たりいれば2人に100万円ずつ請求できる。いずれにしても100万円を回収できるように請求できるようになっている。
□物権
●直接的
権利の内容を実現するのに他人の行為を必要としない。
●排他的
一つの物の上に同じ内容の物権は存在し得ない(一物一権主義)
●物権法定主義
物権は民法その他の法律で認められた物以外認めない建前のこと。
●対抗要件
第三者に対して、既に成立した法律上の権利関係であることを主張するために必要な条件のこと。
●登記
登記所に備える登記簿に記載すること。
●引き渡し
占有の移転のこと。
●物権的返還請求権
他人が自己の目的物を占有する場合に、その返還を請求する権利。
●物権的公害排除請求権
他人の占有以外の方法によって、権利が妨害されている場合にその排除を求める権利。
●物権的妨害予防請求権
物権の支配が妨害される恐れがある場合に、その予防を請求する権利。
●占有権
事実上の物の支配を独立に保護したもの。
●本権としての物件
物の支配の根拠となる権利
|・所有権 ⇨ 物を全面的に支配しうる物権。
|・ 制限物権 ⇨ 限られた範囲内でしか使用できない。
|・用益物権 ⇨ 使用・収益を目的としたもの。
|・担保物権 ⇨ 処分や債権の保証を目的としたもの。
●質権
債権者がその債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる。
●物上保証
他人の債権のために自己の所有する財産を担保として質権・抵当権等を設定するというもの。あくまでも物的担保に含まれる。(書面ではなく口頭でも成立する)
●物上代位
担保物権の目的物が売却、賃貸、滅失または損傷によって法律上または事実上、形が変わった時に、その変わったものに対しても担保物権の効力が及ぶこと。
□相続
●遺留分
・兄弟姉妹には認められない。
・直系尊属のみが相続人の場合 ⇨ 被相続人の財産の3分の1。
・それ以外 ⇨ 被相続人の財産の2分の1。
●遺留分特例(経営承継法)
・非上場企業の後継者は遺留分権利者全員との合意と所要の手続きを経ることを前提に民法の特例の適用を受けることができる。
|・生前贈与株式を遺留分の対象から除外(除外合意)
|・生前贈与株式の評価額をあらかじめ固定(固定合意)
□近年改定された相続に関すること
●平成31年1月13日施行
・自筆証書遺言に関する見直し
相続財産の一部または全部の目録を添付する際に財産目録については自書する必要がなくなり、ワープロ等での作成も可能となった。
遺言書の本文は従来通り自筆で作成する必要がある。
●令和元年7月1日施行
・遺留分算定方法の見直し
従来 ⇨ 遺留分算定の基礎となる対象の財産は贈与については相続開始前1年以内。
改定後 ⇨ 相続人に対する贈与は相続開始10年前。
※相続人以外の物への贈与は従来通り1年以内に行われたものが対象となる。
・遺留分侵害額請求の見直し
従来 ⇨ 当然に物権的効果が生じることが当然。不動産や株式についても共有関係が生じるとされていた。
改定後 ⇨ 遺留分権者は、受遺者・受贈者に対し、遺留分額に相当する金銭の支払いを請求できるようになった。
※改定前は事業継承を阻害する一因になっていた。
・相続の効力等に関する見直し
従来 ⇨ 相続させる旨の遺言等により承継されていた財産については、登記等の対抗要件なくしても第三者に対抗することができる。
改定後 ⇨ 法定相続分を超える権利の承継については対抗要件を備えていなければ第三者に対抗することができないことになった。
・仮払い制度等の見直し
従来 ⇨ 相続された預貯金債権は(準)共有状態になって遺産分割の対象に含まれてしまっていた。
改定後 ⇨ 遺産分割前にも払い戻しが受けられる制度がつくられた。
※これにより、葬儀や相続債務の弁済や生活費がある場合にも払い戻しができないという不具合が発生していた。
上限は150万円。自己相続分の3分の1まで。